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NEUROREGENETIVE MEDICINE&REHABILITATION LAB.

国立障害者リハビリテーションセンター病院

​リハビリテーション部 再生医療リハビリテーション室

再生医療リハビリテーション室は、2016年に国立障害者リハビリテーションセンター病院に設置された新しい
セクションです。再生医療実施機関との連携により、再生治療とリハビリテーションによる身体機能への効果を
客観検証することを目的として、病院・研究所の部門間連携により臨床研究を推進しています。

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再生医療リハビリテーションの現状

再生医療への期待は大きく、一般の認識はおそらく『動かなかった手足が元の通りに動くようになる』というようなイメージだと思います。こうした期待に応えるべく、再生医療、リハビリテーション双方の技術革新を目指してくのが医科学領域の目標になりますが、現時点では劇的な機能改善を期待する段階にはないというのが正しい認識です。当研究室では、関連学会や論文発表等での正確な発信に努め、医療関係者、当事者双方に正確な情報を提供していけるようさらに臨床研究を進めていく予定です。

再生医療とリハビリテーションに関する臨床研究

 2016年に再生リハビリテーション室が開設されて以降、私たちは大阪大学医学部付属病院が実施する自家嗅粘膜移植、札幌医科大学が実施する骨髄間葉系幹細胞投与を施された慢性期脊髄損傷症例を受入れ、術前術後/投与前後のリハビリテーション効果検証についての臨床研究を行ってきました。以下に、2つの再生治療の概要や現状と、私たちの臨床研究の狙いや現時点での成果を紹介します。

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慢性期脊髄損傷者を対象とした

脊髄への自家嗅粘膜移植​とリハビリ

テーションの併用効果の検証

大阪大学医学部付属病院との共同臨床研究
※2017年開始、2021年8月をもって終了

脊髄への自家嗅粘膜細胞移植は、動物モデルでの皮質脊髄路再建の成果に立脚し、2000​年初頭より慢性期脊髄損傷者への臨床応用がポルトガル、オーストラリアなどを中心に進められ、本邦でも2013年に大阪大学医学部付属病院が中心となって臨床試験が開始されました。当センターでは2017年より慢性期胸髄損傷症例を対象とした、リハビリテーションとの併用効果についての臨床研究を開始し、2021年までの間に5症例の検討を進めてきました。

この手法は劇的な機能改善をもたらすものではありませんが、脊髄完全損傷者の損傷境界領域の尾側への機能拡張を示唆する重要な結果を得ています。同研究は5症例をもって終了となり、現在その成果を関連学会にて発表し、論文にて公表するための準備を進めています。

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慢性期脊髄損傷者を対象とした
骨髄間葉系幹細胞静脈とリハビリ
テーションの併用効果の検証

※2019年開始、現在継続中

札幌医科大学病院が実施している骨髄間葉系幹細胞投与は、骨髄より採取した幹細胞を培養して静注する方法で、脊髄への直接の手術を必要としません。亜急性期症例に対しては「ステミラック注」の名称にて薬価収載となっている方法ですが、亜急性期での効果検証では細胞投与の効果と自然回復の効果を区分することができないなど、エビデンスが充分ではないとの指摘があります。当センターでは2019年より、慢性期脊髄損傷者に対する骨髄間葉系幹細胞投与とその後のリハビリテーションの併用効果を検証する臨床研究を開始しました。私たちの立場は、再生医療とリハビリテーションの効果検証を行うためのモデルとして自然回復の影響を最小化 し得る慢性期脊髄損傷の症例をあてがい、機能改善の程度とそのメカニズムを精緻検討する狙いがあります。

​臨床研究の成果発信-学会発表・論文公表-

最新ニュース

  • 愛知諒(理学療法士)が脊髄障害医学会の優秀演題候補に選出

  • 愛知諒(理学療法士)が第37回国立障害者リハビリテーションセンター業績発表会で優秀賞を受賞

  • 愛知諒(理学療法士)が第17回 日本神経理学療法学会で大会長賞を受賞

  • 愛知諒(理学療法士)が第16回 神経理学療法学会で最優秀賞を受賞

論文・解説

  • 大松聡子、河島則天 再生医療—再生医療と脳卒中の作業療法 作業療法ジャーナル 55(8): 896-900, 2021

  • 河島則天、愛知諒、緒方徹 脊髄損傷者の歩行機能改善のためのリハビリテーション-臨床におけるロボティクス活用の意義- リハビリテーション医学 57(5): 399-403, 2020

  • 愛知諒 脊髄損傷に対する再生医療と理学療法 理学療法ジャーナル 54(8): 936-939, 2020

  • 河島則天、一寸木洋平、緒方徹、中澤公孝 慢性期脊髄損傷者の歩行機能回復に向けた新しいリハビリテーションストラテジー 脊椎脊髄ジャーナル29(4):469-474, 2016

​学会発表

令和3年度

  • 愛知諒、河島則天 慢性期胸髄完全損傷症例に対する嗅粘膜組織移植とリハビリテーションによる損傷髄節尾側への機能拡張 第55回脊髄障害医学会(Web開催)

  • 河島則天、愛知諒、大熊雄祐、緒方徹、押切勉、廣田亮介、佐々木祐典、山下敏彦、本望修 慢性期頸髄損傷者に対する骨髄間葉系幹細胞投与とリハビリテーションによる身体諸機能への効果検証 第55回脊髄障害医学会(Web開催)

  • 愛知諒、緒方徹、河島則天、押切勉、廣田亮介、佐々木祐典、山下達郎、佐々木雄一、山下敏彦、本望修 慢性期脊髄損傷者に対する骨髄間葉系幹細胞投与とリハビリテーションの併用効果 第18回日本神経理学療法学会学術大会

  • 河島則天、大熊雄祐、愛知諒、大松聡子、中村和博 慢性期脊髄損傷症例を対象とした骨髄間葉系幹細胞投与とリハビリテーション実施による身体諸機能の改善効果の検証 脊髄損傷再生治療研究会2021.7.17(Web開催)

  • 河島則天 再生医療とリハビリテーションによる脊髄損傷者の機能改善の可能性 第36回日本脊髄外科学会 谷口真記念シンポジウム 2021.6.4(シンポジウム講演)


​令和2年度​

  • 愛知諒,緒方徹,河島則天. 慢性期脊髄損傷患者の身体機能に対する自家嗅粘膜組織移植とリハビリテーションの効果検証.第38回日本運動器移植・再生医学研究会

  • 愛知諒,緒方 徹,河島則天. 脊髄完全損傷者における嗅粘膜組織移植とリハビリテーションによる機能改善の試み-第2報-.第17回日本神経理学療法学会学術大会

  • 愛知諒,緒方徹,木村麻美,河島則天.脊髄半側損傷によるBrown–Séquard症候群の残存機能評価と介入事例-残存機能評価をもとに手指機能の改善につながった第6頸髄不全損傷の一例-.第17回日本神経理学療法学会学術大会

  • 武田賢太,愛知諒,大松聡子,河島則天.脊髄小脳変性症患者における立位姿勢調節の推移 -1年間の経過観察を通して-.第17回日本神経理学療法学会学術大会

  • 河島則天,愛知諒,緒方徹 ブラウンセカール症候を呈した頸髄損傷症例に対する残存機能評価と介入事例 第54回日本脊髄障害医学会

  • 愛知諒,緒方徹,河島則天 脊髄完全損傷者における嗅粘膜組織移植前後のリハビリテーションの実施経験-第3報-.第54回日本脊髄障害医学会

令和元年

  • 愛知諒、緒方徹、河島則天 脊髄完全損傷者における嗅粘膜組織移植とリハビリテーションによる機能改善の試み 第16回日本神経理学療法学会2018.11(大阪)

  • 愛知諒、緒方徹、河島則天.脊髄完全損傷者における嗅粘膜組織移植前後のリハビリテーション実施経験-第2報- 第53回日本脊髄障害医学会2018.11(愛知)

  • 愛知諒、緒方徹、河島則天.慢性期脊髄完全損傷者への自家嗅粘膜組織移植前後のリハビリテーション治療実施経験,第55回日本ロボットリハビリテーション医学会第55回学術集会2018年6月(福岡)

  • 河島則天 脊髄損傷者の歩行機能再獲得を目指して-再生医療と連携した包括的リハビリテーション- 第25回日本運動生理学会 2017.6(シンポジウム講演)

当センター業績発表会における発表

​​令和3年度(第38回)

  • 当センター病院・再生医療リハビリテーション室の取り組み(発表者:大熊雄祐)

  • ブラウンセカール症候を呈した脊髄不全損傷者に対する骨髄間葉系幹細胞投与とリハビリテーションの実施経験(発表者:大松聡子)

  • 慢性期胸髄完全損傷症例に対する嗅粘膜組織移植とリハビリテーションによる損傷髄節尾側への機能拡張(発表者:愛知諒)

  • 再生医療リハビリテーションにおける臨床検査科の取り組み(発表者:中村和博)

  • 再生医療リハビリテーションにおける放射線科の取り組み(発表者:吉田敦)

​​令和2年度(第37回)

  • 経頭蓋磁気刺激を用いた脊髄損傷症例の運動機能評価 ―再生医療リハビリテーション室における臨床検査の役割―(発表者:中村和博)

  • 頸髄損傷症例に対する上肢・手指機能の定量的評価-簡易上肢機能検査STEF 実施時の動作筋電図計測-(発表者:大松聡子)

  • Brown–Séquard 症候を呈した頸髄損傷症例に対する骨髄間葉系幹細胞投与とリハビリテーションによる機能改善(発表者:愛知諒)

  • 第5頸髄完全損傷症例に対する骨髄間葉系幹細胞投与後のリハビリテーション実施経験(発表者:河島則天)

令和元年度(第36回)

  • 慢性期脊髄損傷者を対象とした骨髄間葉系幹細胞投与とリハビリテーションの効果検証 -センター部門間連携による再生医療リハビリへの取り組み-(発表者:愛知諒)

スタッフ

大熊雄祐(整形外科医・室長)

Yusuke Okuma, MD

専門分野:整形外科

役割:臨床研究の統括、再生相談外来

近藤怜子(整形外科医)

Yusaku TAKAMURA, PT, Ph.D.

専門分野:整形外科

役割:臨床研究の統括、再生相談外来

河島則天(研究職)

Noritaka KAWASHIMA, Ph.D.

専門分野:神経科学・リハビリテーション科学

役割:臨床研究の統括、プロトコル管理

愛知諒(理学療法士)

Ryo AICHI, PT, M.S.

専門分野:神経リハビリテーション

役割:臨床評価・PT介入、スケジュール管理

大松聡子(作業療法士)

Satoko Ohmatsu OT, Ph.D.

専門分野:神経リハビリテーション

役割:臨床評価・OT介入、スケジュール管理

中村和博(臨床検査技師)

Kazuhiro NAKAMURA, BSc

専門分野:電気生理計測

役割:神経機能評価・解析

吉田敦(放射線技師)

Atsushi Yoshida

専門分野:脳画像計測・解析

役割:MRI撮像・解析、筋ボリューム解析

協力・関係部署

Collaboration partner

  • 病院リハビリテーション部理学療法部門

  • 病院リハビリテーション部作業療法部門

  • ​3階西病棟スタッフ

  • 研究所・神経筋機能障害研究室​​

​共同研究・連携病院

Partner hospital

  • 札幌医科大学・再生医療フロンティアセンター(本望修教授)

  • ​大阪大学付属病院・脳神経外科教室(貴島晴彦教授)

MOTOR CONTROL LAB.

TEL:04-2995-3100 (ext. 7278)

Fax:04-2995-3132

〒359-8555 埼玉県所沢市並木4-1

国立障害者リハビリテーションセンター研究所

運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室

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